研ぎ澄まされた名刀のごとき関数を知っているか?
「エクセルの関数なんて、一度覚えたらそれで終わりだ」などと思っている御仁(ごじん)がいたら、私は迷わずこう言いたい。「お気の毒に、あなたは文明の利器という名の、極上の旨味を知らずに過ごしている」とね。
かつて、文字列を切り分けるのは苦行だった。LEFTだのRIGHTだの、はてはFINDで文字の居場所を探り当てる……。あれはまるで、蕎麦を食べるのに爪楊枝一本で挑むような、不器用で滑稽な振る舞いだったのだ。
しかし、時代は変わった。今、私たちの目の前には、研ぎ澄まされた名刀のごとき関数が鎮座している。その名も、TEXTBEFORE と TEXTAFTER。

もし君が、名簿の作成やファイル名の整理で、連日「文字の数え間違い」に頭を悩ませているのなら、私の話を聞いてほしい。この記事は、単なるマニュアルではない。君の指先から迷いを消し、定時退社という名の「晴れ渡る空」を掴み取るための、招待状なのだから。
名刀:TEXTBEFORE、TEXTAFTER関数
さて、ここからは「粋な仕事」の話をしよう。小難しい理屈は抜きだ。まずは、君の目の前にある「壁」をどう壊すか、その手順を伝授するよ。
① 名前の「氏」と「名」を、一刀両断に分かつ
事務作業の現場でよく見かける「氏名」の列。これを「名字」と「名前」に分けたい時、これまでは数式が複雑怪奇になりがちだった。だが、現代の流儀はこうだ。
・ 名字 : =TEXTBEFORE(セル, “ ”)

・ 名前 : =TEXTAFTER(セル, “ ”)

これは、いわば「寄席の作法」と同じだ。出囃子が鳴れば(指定した文字があれば)、そこから先(あるいは手前)をパッと舞台に上げる。全角スペースでも半角スペースでも、指定した通りに動いてくれる。これだけで、君の作業は「蕎麦屋の出前」のごとき迅速さで片付くはずだ。
② ファイルパスから「名前」だけを抜き出す魔術
システムに関わる仕事をしている君なら、長い長い「ファイルのパス」から、一番後ろのファイル名だけを抜き出したいことがよくあるだろう。
「C:\ユーザー\ドキュメント\エクセル\DX虎の巻.xlsx」
この中から「DX虎の巻.xlsx」だけが欲しい時、君ならどうする? 伝統的な手法で文字数を数えるのは、もうおよしなさい。ここで使うのが「-1」という指定だ。
・ ファイル名抽出: = TEXTAFTER( パスのセル, “\”, -1 )

この「-1」というのが粋じゃないか。末尾から数えて最初の「\」を探し出し、その「後(AFTER)」を持ってくる。まるで行きつけの店の暖簾をくぐるように、迷いなく目的の場所に辿り着けるというわけだ。
③ 「配列」と「スピル」―― 新しい風を感じる
ここが最も重要なところだ。現代のエクセルには、背後に「配列」と「スピル」という強大な力が潜んでいる。
これは例えるなら、これまでの関数が「ソロの演者」だったのに対し、現代の関数は「オーケストラ」だということだ。一つのセルに数式を書けば、結果が隣のセルまでサラサラと流れ出す(スピル)。

「配列」なんて言葉に身構える必要はない。それは、**「一度の指示で、仲間全員が動いてくれる」**という、実に頼もしい団結力の呼称なのだよ。この視界が開けると、君の仕事は驚くほど速くなる。得をする。喜びが増える。これは、知識ではなく「体験」として身体に刻んでほしい。
晴れ渡る空のような未来
どうだい、少しはワクワクしてきたかな?
これらの技術を身につけた後の君の職場を想像してみてほしい。これまで一時間かかっていた作業が、ものの数分で終わる。キーボードを叩く音は軽やかになり、心には余裕という名の美しい余白が生まれる。
窓の外を見てごらん。仕事が早く終われば、夕暮れの空がいつもより青く、澄んで見えるはずだ。その浮いた時間で、大切な人に手紙を書くのもいいし、少し高めの珈琲を愉しむのもいい。君の手で作り出したその自由こそが、DXという言葉の真意なのだよ。
まだ見ぬあなたへ
理屈で理解しようとしなくていい。まずは、騙されたと思って数式を入力し、その「結果」を指先で、身体で、感じてみてほしい。新しいエクセルは、頭ではなく、魂で打つものなのだから。
もし、途中で道に迷ったり、数式がうまく動かなくて心細くなったりしたら、遠慮せずに私に声をかけてくれたまえ。私はいつでも、情熱ある君の隣を歩く準備ができている。
明日もまた、君の仕事場に小さな喜びの花が咲くことを、心から願っているよ。
56歳PCオタクより、愛を込めて。